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Channel: 合言葉はモス!!
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決意

衝撃はあまりにも大きかった。 ナルは我に返るまで数分、その場に立ち尽くしていた。 隣にいるカインを見る。 カインは崩れ落ちるように膝をついていた。 その表情は呆けているようで、焦点は定まっていない。 ブレイブの兵士達もようやく自分の立場を思い出したようだ。 じりじりと、若い二人の男の包囲を狭めていく。 カインはしばらく使い物にならないだろう。 ここは自分が動くしかない。...

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約束

「ちょっと、痛いってば。  そんな馬鹿力で掴まないでよ。」 アリスは顔を歪めながら愚痴を言った。 黒髪の長髪の男が右腕をしっかりと掴み、 自分をひっぱっている。 「離したらまた逃げるだろ?」 ユキはうんざりした表情で呟いた。 「逃げないわよ!  でもこのままじゃ腕が取れちゃうじゃないの!」 「わかった。  もう逃げるなよ。」 ユキはアリスの右腕を掴んでいた左手を離した。...

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入道雲

「思わぬ時間を取ってしまったな。」 ユキはそう呟きながらも奇妙な道中に悪い思いを抱かなかった。 鷹の団の二代目として、活動していた数年間。 周りからの期待、重圧が今までの彼を次第に疲弊させていた。 本人には自覚は無かった。 しかし、世界を救うという思いは、若者の肩にはあまりにも重すぎたのだ。 アリスとの数日の旅路は、彼にとって今までの日常とはかけ離れていた。 ああいった日常もあっていいのだ。...

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七曜の間

青い空はやがて茜色となり、 次第に漆黒の闇へとその装いを変えていった。 客間へと通されたユキは、その空の様子をぼんやりと眺めていた。 コンコン、と扉をノックする音がする。 「ユキ様、お待たせいたしました。  七曜の間へご案内いたします。」 女官の案内で七曜の間へと案内されるユキ。 その中には円卓に座った7名の男女がいた。 老将軍、ハーがユキに声をかける。 「ユキ殿、お待たせしたな。  紹介しよう。...

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旅立ち

意外な、しかし一番メリーの国らしい決断で会議は幕を閉じた。 参加した各々の胸の内は異なりながらも、それぞれの夜は明けた。 そして、朝が来た。 女王の間にはいつものようにアンとハーの姿があった。 毎日の務めはいつもと変わらずにある。 静けさを打ち破ったのは女王の間に注進に来た衛兵だった。 「申し上げます!  フィアレスよりヴィンセント王子がやってまいりました!」...

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春の日、友と集う

【ごあいさつ】 管理人、マルスです。 私のブログをご覧になってくれている皆様へご連絡をいたします。 ゲームブログとして始めた「合言葉はモス!」ですが 私がゲームを離れてしまったことで 現在は小説ブログへと姿を変えております。 ゲームの攻略情報などを求めて検索、閲覧してしまった方に対し申し訳ないなと。 また、私が更新を怠ったために小説ブログとの間に別記事があると 読み手が判りにくいという思いから、...

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銀龍の背に乗りて

アベルは銀龍の背に乗り、空を飛んでいた。 眩しい太陽の光。 迫りくる白い雲。 視界を下に向けると、景色は後方へと飛んでいく。 アベルはこの感じが好きだった。 龍の背に乗り、空を行く時。 アベルは色々な事を考える。 地上にいると様々な制約がある。 空の上が彼にとって唯一の自由を感じる空間なのだ。 両親はいなかった。 幼い頃からの記憶をたどる。 アベルは物心ついた時から一人だった。...

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森林での戦い

「鷹の団だぁ!!」 ルーキーの軍団の一部で騒ぎが起きた。 森林に埋伏していた鷹の団が襲来してきたのだ。 三百程度の小隊が一気に攻めかかる。 「ゲン爺!発破で相手を崩せ!!  皆は俺に続け!!  崩すぞ!!」 「了解です!リョウ殿!!」 リョウの声に仲間が応える。 ゲン爺は懐から小さな爆弾を取り出し、 器用にそれに火をつけた。 3本の爆弾を敵の軍団に投げ入れる。...

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意地

「誰だ!!」 アベルは後方に向かって叫んだ。 森林の奥から一人の若者が現れた。 その手には黒く光る鉄の棒を持っている。 灰色の麻の道着のような服を身に纏った男はゆっくりと前へ進んだ。 「私は旅の武芸者。  名はグレン。  鷹の団のリョウ殿ですね。  助太刀いたします。」 グレンと名乗った若者は涼しい顔で名乗った。 アベルがグレンに気を取られている間に、 リョウは剣を拾った。...

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一つ先の闇へ

マルスの死から2年の月日が流れた。 ブレイブの城の一室、宰相の部屋。 宰相ゴルサージュは自室の窓から外を眺めていた。 マルスとタイロンの戦いがあった場所をじっと見つめる。 老宰相はゆっくりと目を閉じるとしばらくその場を動かなかった。 おもむろに後ろを振り返る。 壁には姿見が立てかけられてあった。 鏡に映る自分の姿をゴルサージュは見つめた。 老いている。 白髪はところどころ抜け落ち禿げ上がった頭。...

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